一堂に会す

テレワーク器材そろうて新茶汲む

マイクとイヤフォンセットの売れ筋が品薄だそうである。

最近のノートパソコンならカメラやマイクは内蔵されているので、流行りのZOOMなどオンライン会議などはすぐに実現する。
ただ、環境によってはイヤフォンを使わねばちゃんと聞き取れないとか、やれ音質がどうとかで、ハンズフリーにもなるマイクとイヤフォンセットを求めるわけだ。
テレワークはいいが、家族も居て仕事せんようの書斎などがないと、なかなか落ち着かない面もあるのだろうか。
筆者などは別にスマホでもいいとも思うし、長く休会になっている句会などもオンライン会議のシステムでやれれば面白いとは思うが、そうなれば家庭の一面も覗かれるような気がするし、所詮趣味でしかない俳句の合評など聞かされる家族にとっては雑音でしかなく肩身の狭いものにもなろう。
やはり、俳句は座の文学として一堂に会し顔を合わせてこそのものなのだろう。

胃に来る来ない

新茶とていつに変はらぬ急須もて
到来の新茶や久の長電話

新茶がうまい季節。

と言って、あのカフェインには弱い人間もいて敬遠する向きも。現に家人は夜寝られなくなるからと緑茶はたしなまない。番茶でもなく、色々混ぜた何々茶というものばっかり飲むのである。紅茶やコーヒーは平気で飲めるのに、なんとも解せないものである。
そんな連れ合いにつき合わされて、家では緑茶は滅多に飲まなくなった。
たまに、到来ものの新茶があるときは別だが、それもたいがいは独りで汲むことになる。

ただ、当地に来ると、大和茶の産地だけあって新茶のこの季節ニュース番組などでよく紹介される。二葉一芯摘みという積み方の名前すら覚えてしまった。周りは宇治茶に近江茶、そして伊勢茶。よく考えると茶処ばかりなのであった。

青柳のぬた

山村の畠託され新茶かな

今は大潮の時期で、津の海岸まで汐干狩りに行った。

同級生E君のおさそいで、W君も加わり2時間ほどたっぷり波打ち際でバカ貝と地元で通称ドンビと称するしおふき貝をバケツ一杯ほどの収穫。
ほかに馬刀貝10本ほど、赤貝1個。

別れ際にW君から美杉町の畠で育てた新茶を手みやげにいただく。
奥さんの実家の畠をひきついで3年、ようやく計画的に茶の栽培ができるようになったと言う。
帰宅後さっそく封を切りその香りを楽しんだあと、丁寧に淹れて一服したことは言うまでもない。

足裏でさぐる感覚汐干かな

さてかつては見向きもしなかったドンビだが、その料理法とは。
E君の家で昼食をごちそうになったあと、貝処理の実践手ほどきを受ける。
貝の砂抜き方法 – 津市観光協会

馬刀貝はバター炒め、バカ貝の一部はぬたでいただき残りは佃煮。ドンビは全部佃煮。
寿司屋では青柳というネタはめったに食わないのだが、ぬたの青柳は弾力性がある歯ごたえですこぶる美味だった。