福苗と福餅

人と牛と砂かけあうて春まつり
砂舞へば天も喜ぶ春まつり
春ごとの田人田牛は消防団
春ごとの松苗まきに歳忘れ

河合町を通りかかったら「広瀬大社砂かけ祭」の幟。

今日2月11日は恒例の奇祭・砂かけ祭の日だと思い出し、さっそく見学に向かった。
いわゆる御田植祭で、鋤や鍬で田起こしするステージから馬鍬で代掻きするステージへ、最後は早乙女に扮した巫女さんが松苗を早苗にみたてて田植えする行事なのだが、その代掻きまでの各ステージで田人や田牛が該当の所作の終わるごとに手にした鍬で足もとの砂をすくっては参加者にふりまくのである。
この砂が多く舞えば舞うほど今年の雨が約束されるということもあって、参加者も負けじとおたがいに熱くなるほど砂をかけ合う。
ところかまわず砂をかけあうので、田人田牛ともがっちりガードを固め、参加者はまたゴーグルに雨合羽で完全防水仕様。
境内くまなく逃げ回る参加者を追いかけては砂をかけまくり、テレビの取材クルーも逃れられない。
最後は、松苗と田餅とよばれる福餅が撒かれ、持ち帰った夏苗を玄関口において五穀豊穣を、田餅は食べて無病息災というご利益にあずかる。松苗も田餅もがっちりいただいて帰宅できたのは、「こいつあ、春から縁起がよいわいなあ」。

夫婦和合の神事

春ごとの神のまぐはひおほらかに

毎年第一日曜日が飛鳥坐神社の御田植祭(おんだまつり)。

朝から雨とあって人出が少なかったようだが、これが幸いした。
飛鳥の小高い丘にある神社拝殿前はごく狭く、午後2時から始まる神事を確実に見るには午前中から場所に陣取って辛抱強く待つ必要があるのだが、雨のおかげでのんびりと午後一時頃でも充分神事が行われる舞台が見える場所に立つことができた。
第一部が恒例の御田植祭。これは一種の予祝行事で一年の豊作を祈願する神事。
そして、第二部が大和の三大奇祭といわれる所以となる子孫繁栄を祈願する夫婦和合神事。天狗とお多福がおおっぴらに舞台の上で「種付け」とよばれる演技を行う。何とも開けっぴろげのおおらかな神事だ。その後枕紙を丸めて会場に投げ、キャッチできたものは子宝に恵まれるという。

かくて、春の祭を堪能して、気がつけばいつの間にか雨が止んでいた。宮司によると「日時になりて雨の止み」と昔から伝わっているそうである。今年も目出度し、目出度し。