六文銭バット持たせて春の雨
肩広の骨を拾うて春の雨
強肩の体躯棺に春の雨
「春雨」と「春の雨」というと似ているようで違うような気もする。
春雨は文字通り、「濡れていこう」の春雨である。いよいよ暖かさをもたらし、ものの恵みをもたらすという明るく、艶やかなイメージが伴う。一方、後者は暦が春になったばかりの頃で、それまでの雪に替わるものとしての雨というイメージであろうか。
実際には、ホトトギス歳時記では同じ項に並べられているので、あくまで私見ではあるのだが。
高校の同窓生が亡くなった。
一年近く格闘したが、野球で鍛えた体も病には勝てなかったと聞く。
幅広の肩も骨ばかりになって、棺におさまった姿を想像する。