鼻つまみ

この声は恋の始まり春の風邪

春の風邪という季語は深刻でないように詠むのがいいと教わっている。

軽く見ていたので長引いたとか、とかく俳人は軽く詠もうとする。
要するに他人が心配することのないのが「春の風邪」なんであって、熱を出して寝込むなどというのは野暮なのであってそぐわないのである。
ま、しかしコロナ禍においてはうっかり風邪でも引くと、少しの咳でも鼻つまみ者として白い目で見られかねない。
とにかく今年は何もないのがいいのである。おとなしくしているのがいい。

しょぼしょぼ

すっぴんもまたえじゃないか春の風邪

風邪ではないが杉花粉症にちがいない。

目がしょぼしょぼするし、鼻もぐすぐす。
うっかり咳をしたら、この時期みんなから胡散臭く見られるので外出にはマスクが欠かせない。
春の風邪と言って気取っておるうちはまだいい。新コロナとかいうウィルスを侮らず、外から帰ったら手荒い,うがいの実践でのりきるしかない。

花粉に負けず

鼻声でねだるも狡し春の風邪

インフルのピークは過ぎたようである。

が、花粉アレルギーがひどくなるのはこれから。
試しに薬を処方してもらったが、日に一回寝る前に飲むお約束がどうも守れない。飲んだり飲まなかったりの繰り返し。
だが、その薬効あってか先週日にティッシュ一箱も使ったのが今のところ嘘のように再発しない。継続して服用するのがいいようである。
雨上がりの後がもっとも危険と聞くのでなるべく外には出たくないが、やはりバードウオッチングの魅力には勝てない。顔にはマスク、頭にはすっぽりの帽子、滑りやすい繊維の服装、いろいろガードしながらまた大鷹の揚々とした飛翔を探しに出かけるとしよう。

潤んだ瞳

益荒男の涙目なるも春の風邪

猫の恋の季節が始まっている。

悩ましげな声がしては家の近くを通り過ぎて行くが、避妊・去勢された我が家の猫どもはと言えば、相変わらず炬燵猫。一日のほとんどを寝て暮らしているのを抱き上げても、半開きの目で物憂げな表情を見せる。
まるで花粉アレルギー症か風邪でも引いたかのような、うるんだ瞳を向けるのが何とも可愛い。

このように、か弱いものの見せる涙目はチャーミングだが、これが大男ともなると全く別の話で、どこか滑稽を帯びた哀れというものが漂う。

20年ぶり

侮りて思いの外に春の風邪

3日ほど前から喉が痛かった。

家人は花粉ではないかと言うが、この痛みはやはり風邪によるものだとは思っていた。のど飴などでだましだまし過ごそうとしたのだが、徐々にひどくなってきて嚥下するのも辛くなってきたのが昨日。今日は吟行の日なので昨夜はマスクをしたまま早めに寝たのだが、起きてみるとどうもふらふらして声を発するのも辛いとなってはもう欠席するしかない。

風邪でまる一日寝込むというのは実に20年ぶり。さては油断があったか。
夕方までたっぷりベッドで時間をすごし、夕食はおかゆ。食欲はあるので明日はもう大丈夫だとは思うが。

早寝の春

原則をさぼりたるにや春の風邪

手荒い・うがい励行は風邪予防の初歩。

ほかにも十分な睡眠をとって疲労をためない、汗をかいたら冷やさない、人混みの多いところではマスクなどして注意する。そういうことをきちんと守っていたらまずは風邪などひかないのだろう。
ところが寒さがちょっとゆるんだ途端の油断だろうか、くしゃみしたり鼻声になったりしておかしいなと思ったら風邪である。

近年は花粉アレルギーも増えているので、もしかしたらとうとう自分も仲間入りかと思うこともあるが、風邪は風邪。早々に寝ることにした方がよさそうだ。