1300年前の朱

丘あらば盗掘されて風晩夏

朱雀の絵が奇跡的に残った。

キトラ古墳は南壁側から盗掘されたが、その箇所はかろうじて四神の朱雀を外れていたので、1,300年たった今でも鮮やかな朱色を目前にすることができる。
なんでも、南壁は「閉塞石」と呼ばれ最後に閉じられたが、絵はその前に外で描かれたので四神の中でも出色の出来ということだ。力強い線で輪郭を描かれ、羽根や蹴爪などは今にも飛翔しそうな躍動感にあふれている。
高松塚の南面にも朱雀の絵があったが、こちらは盗掘の際完全に破壊されているので、キトラの朱雀は奈良時代のものとして貴重な存在とされる。

いずれ残り三面の公開もあるだろうが、黴びなど管理の問題があって、明日香以外の場所でとなると難しそうだ。次の公開の機会があればそれも逃さず見てみたいと思う。