空気を包む

朴落葉反りて餅菓子くるまんか

一面に朴の葉が落ちている。

どれも表側に反り返り、葉の裏の葉脈をくっきりと浮かばせていて、それはまるで何かをくるんでいるようである。
朴の落ち葉というのは不思議なもので、その厚みゆえか、重さゆえか、簡単には風に飛ばされず木の下に折り重なるように積もることが多い。
朴葉にくるまれた餅菓子のようなものがそこに堆く積んであるかのような気がしたのだ。

落葉踏む

朴落葉うちかさなりて風もなし
鞄には収まりかねて朴落葉

長さが30センチもあろうか。

朴の葉の広いこと。
少々の風くらいでは飛ぶこともないのだろうか、白灰がかった茶褐色の裏を見せて巻くように重なっている。
試しに拾い上げてみたら、ショルダーのバッグより大きかった。

乾いた雨音

朴落葉雨を確かむたなごころ
朴落葉打つ雨音の乾きゐし

まるで草履のように大きい葉である。

これが目の前に落ちていて踏むのをためらっていると、雨が降り始めたようだ。
手のひらを返して受けるようにしてそれを確かめると、間違いなく大木の枝をすかして落ちてくる雨がある。反り返るようにして形をとどめていた朴の落葉が乾いた音を返しはじめた。
葉を踏まないように避けながら通り過ぎることにした。