妍を競う

太鼓台郷の自慢の村祭

今年も龍田大社例大祭の季節となった。

朝から在の人たちが町内をぐるりと回遊して、夕方また帰ってきた模様だ。
というのは、打ち鳴らす太鼓で今どこにいるか想像できるからだ。今日は里にお渡りして明日大社に集結するという寸法だ。
地区によっては、たいそう豪勢な太鼓台を引き回しているところもあって、各郷の入れ込み方がまたよく分かる。総じて、商売人が多い地区が贅をこらしていることが多い。
さらに、動員の人員構成からも郷の勢いのようなものを垣間見ることができる。今世紀中にはこれらのなかのどれかが廃れてしまうことさえ頭を過ぎるのは寂しいものだ。

滅ぼしてはいけない辺境

長老は早よに酒盛村祭

何の役も持たなくなって気楽な身分である。

祭の大方は青年、壮年に任せ、輿を見送ったら宮入までもうやることがない。
となると、社務所の一画で早々と酒宴となる。

片付けがすべて終わって、主役たちの酒宴がようやく始まろうかという時間にはもう出来上がり。
口の煩いのが早々と沈没すれば、あとは若い人たちの無礼講。

こんな緩い時間が流れるところは、「辺境」にはまだあるのだ。