持ちつ持たれつ

ねこじゃらし枯れてこぼれて群雀

あのブラシの尾も葉っぱもみんな枯れて真っ茶色だ。

ひとの気配がなくなると、さっと電線から雀たちが降りてきては、なにやら猫じゃらしの根元をしきりに啄んでいる。
どうやら、ブラシのような穂から種が溢れているらしい。それをしきりに啄むのである。
最近はこのような群雀を見かけることが少なく、珍しい光景を見たものだと思う。宅地は開発され野原が少なくなるいっぽうで、道路などは舗装されさらに雑草の生きる空間も減るなかで、雀たちにとって生きづらい世になったものだが、このようにして冬を食いつないでいたのだなと思うと哀れをもよおさざるを得ない。
猫じゃらしの夏は猫の遊び相手となり、冬は雀を養う。雑草といえども、生きとし生けるものにとって世の中は持ちつ持たれつでできているのだ。