そんぼの柳

太子道柳芽吹ける蘇武井かな

環濠の東側飛鳥川沿いに、かつて集落の飲み水をまかなった井戸があった。

「蘇武井」(そぶい)と呼ばれる井戸は水清らかで日照りが続いても涸れることがなかったという。
聖徳太子が飛鳥と斑鳩を往復する道筋にあたっていたのだろうか、太子が駒をとめ給水されたとも伝わる古い井戸である。そばの石碑には「今井ソンボの朝水汲みは桶がもるやら涙やら」と歌の一節が刻まれており、毎朝水汲みをする苦労を歌っている。
一体は最近きれいに整備されて、井戸の傍らにあらたに柳が植栽されており、枝まで緑色した若い柳の芽がひときわ柔らかそうだった。井戸に柳というのは定番で、おそらくその昔も柳の枝が揺れる姿がみられたことだろう。

ちなみに、ここは自宅から飛鳥川伝いに飛鳥へ出る自転車道の道筋にあたっており、このあたりから川が東側におおきくカーブしながら飛鳥の里にのぼってゆく。