もったいない

そのひとつ鳥の食み痕柿花火

見事な枝振りに柿が満載である。

陽のよくあたる斜面には見上げるような大きな柿の木があった。
比較的暖かい十月だったせいか樹上での熟し具合も穏やかなようで、道には一つとて落ちたものがない。鳥もまだつつく様子もなく一つ一つの肌も艶々している。こんな見事な柿もだれも採るひとがいなければもったいないような気さえする。
しばらく過ぎて振り返ると、夕方に近い日に照らされてそこだけ浮き上がるようにも見えた。