栗大樹竹の侵すを負けてゐず
もう実は落ちてしまったようだ。
電車の窓からいつも見える山栗の大木があって、今年は実がいっぱい成っていた。
背後には伸び放題の竹林が迫り今にも飲み込まれそうだが、なんだか両足を踏ん張って背中で押し返しているようで頼もしくも見える。
あの大きな栗の木の下に行けばいっぱい拾えるだろうと思うが、他人の敷地に勝手に入ることもかなわずいつも見ているばかりである。
栗にはいろんな傍題があって、「虚栗(みなしぐり)」「柴栗(山栗)」「焼栗」「栗拾ひ」などその数を全部並べたら大変なことになりそうである。
最近テレビで知ったのだが、四万十川流域でとんでもなく大きく甘い栗が栽培されているそうだが、いまだ流通するほどの量は生産されず手に入れるのは難しそうである。
いっぽうで、ヨーロッパなどでよく見る焼き栗は山栗サイズであり、これもまたうまそうである。
てのひらに柴栗妻がのこしけり 石田波郷
こんな句が好きである。