ラムネ売り

巌積む渓を転がる河鹿笛

遡上すればするほど大岩が現れる。

滝道を曲がれば曲がるほど道が細くなり、河鹿の鳴き声が近くなる。
だいたいの居場所は見当がつくものの、鳴き声が岩にこだまするので在処はつかめない。

滝見茶屋で一休みしようと店をのぞけば、冷たい清水に冷やしたラムネがうまそうだ。
だが、所望するとラムネは冷蔵庫で冷やしたものにかぎると、奥から持ってこられたのには驚いた。こちらは、滝清水で冷やしたラムネがほしいのに、押しつけられるようにして持たされたラムネを手に途方に暮れる。