水藻編むだけのはかなき浮巣かな
斑鳩の里には大小の溜め池が多く、子育てのためだろうか巣作りで大わらわのカイツブリの夫婦が見られる。
ただ、見ていていかにも不安定なのは、水面に漂う藻をしきりに編んでは巣を作ろうとしているのだが、巣の上や左右をおおうものとてなく360度丸裸同然なのである。これでは、カラスなんぞに襲われたらひとたまりもなさそうなのである。
それに浮き巣自体が藻だけではとても卵をあたためる床などできようもなく、この夫婦はどうやら経験が浅い夫婦ではなかろうかと思うのである。
鳰の浮き巣と言って、彼らの巣は大水が出たりするとすぐに壊されたり流されたりするのでもろい、はかないものの象徴、たとえに用いられるが、なるほど当たっていると思う。
ただ、流されても壊されても懲りずに何度でも作り直す習性があるようで、先週は隣の池で枝のような浮遊物にすがって巣作りしていたカップルがいたが今はもういないところを見ると、あれは今日見たカップルなのではないかと思われる。
しばらくは観察を続けようと思う。