城ヶ島の磯

老の腰かがめほまちの海苔を掻く

半島の磯を散策していると、広い磯に老婦がひとりで海苔を掻いているところに出くわした。

手にしているのは小さな水切り籠なので、それを専業とするようにはとても思えず、おそらく自家で消費するか、あるいは小さな民宿でも営んでいるのかもしれない。
北側は高い崖に守られているので、それが衝立のようになって浅い春の冷たい風を遮ってはいるが、それでも水の冷たさからは免れられない。
労働のわりには得られるものが少ないと思われるが、磯に黙々と腰をかがめる早春はなんど繰り返されたことだろう。

同窓会メンバーによる城ヶ島ハイキングの、今でもときどき思い出す光景だ。