立錐の余地なくあふれ燕の子
おしくらにこぼれんばかり燕の子
親が作った巣が小さく見えて、子供たちがこぼれそうである。
親が餌を運んでくるたび、いっせいに騒ぐものだからはらはらしてみているが、もちろん簡単にはこぼれない。
ただ、ときどき下に落ちる子もいるようだから、さもありなんとも思う。
巣立ちが近いと見えて相当大きくなっている。顎の下から胸にかけてのえんじ色がはっきり見えるほど餌をねだる姿は生きるのに精一杯の仕草である。
これがちょっと気づかないうちに巣立ちしてしまうと、いちまつの寂しさを感じつつ今年の燕のシーズンにひと区切りついたという思いにひたるのである。