もろこしの花の十字の槍のごと
菜園などでは夏野菜が真っ盛り。
そのなかでも上手に育てたトウモロコシなどをみると、ほれぼれするほど雄花が立派に空にそびえている。それは、まるで十字槍を並べ立てたように雄々しく夏の畠にふさわしく思える。この穂が開くと細かい花粉がこぼれ落ちて雌花の髭に絡みつき、一本の髭につき一粒の実がなるのだという。
だから、この花粉がまんべんなく降りかかることが重要で、作り手としてはここが勝負時だが、相手はそれだけではなくアワノメイガという虫も大敵なのである。
この虫は雄花から侵入し、茎を通じて実の中に忍び込む名人で、雄花をいつまでも放置していたら虫の侵入を易々とゆるしてしまうことになる。人工で花粉を降り出したらさっさと切り落としてしまうのも対策になるが、反面実入りが悪くなったりしてその兼ね合いが難しい。
店先で並んでいるのは虫害がないものばかりだが、雄花の管理が大変なのでおそらく農薬を使って虫害を防いでいるのが実のところではないだろうか。