木造家

白粉花の暮れゆく二軒長屋かな

そろそろ白粉花の季節。

この花の名を口にするだけで、幼い頃の記憶が蘇ってくる。
昭和の20年代というのは、住宅復興もまだまだ進まず公営住宅に入ろうにも高い倍率であった。たまたま市営住宅に当たったとき、「宝くじに当たったようなものだ」と父は口癖のように言うのであった。
そのせまい平屋住宅を飾るでもなく白粉花が咲いて、それが妙に木造の二軒長屋には似合うのだった。