綿虫日和

風鎮の杜のざわめき神迎

十一月も末。

龍田大社まで足を伸ばしてみたが、終日曇りで風もなく、まさに綿虫日和。
案の定、行くところ曲がるところ、どこでもふわふわと綿虫が泳ぐように浮いている。
人の目の高さを飛ぶせいか、ぶつかりそうになるが、目纏のように目に入ることはない。

龍田大社の創建は崇神で、天武が始めたという七月の風鎮際の手花火でも知られている。
龍田越えで難波から帰ってきた虫麻呂が後から来る主人のために、まだ桜が散らないよう、風鎮めの祭をしようという長歌にも詠われており、その万葉歌碑が舞殿の横に建立されていた。まだ日が浅い感じがしたが、広く取った敷地にはツツジの返り花も。

紅葉もいよいよ終盤となってきたが、さすが龍田さんのことだけはある。
残り紅葉には濁りも少なく、何とも言えない気品さえ感じることができた。