弛緩

秋澄むや音なく下る救急車

いつもの甲高い音が聞こえない。

回転灯だけが家々を照らしながら走り去ってゆく。救急患者をおろして基地に帰る途中なんだろうか。少なくても先を急ぐ状況にはないようである。
救急車が通るといつも緊張感があたりに漂うのであるが、このように音なく滑るように消えると、澄みわたって張りつめたような空気を緩和する効果があるようである。