ラックを組む

北向きの藪に曲がれる竹を伐る

今どき竹を伐るということは滅多にないだろう。

竹といえば、子供の頃釣り竿、チャンバラの刀などいろんな遊びにさんざん使つたものだが、今の子供たちには遠い存在となったようである。
金属やプラスチックなどいろんな素材が開発されて竹にとって替わるようになり、竹自体の用途もかぎられてきている。
さいわい田舎で過ごしていると、誰が管理しているかもわからない竹林はいくらでも見かけるし、一本や二本くらいいただいてもだれも文句を言われない。
市民菜園でも適当な太さのものを伐ってきて、土留めや足場を組んだり、ちょっとした小屋の骨組みにしたりしている。
今日はいつもお世話になっているご老体が支柱用に竹を伐りたいというので、お手伝いをしたついでに自分用にも二、三本頂くことにした。農具をしまうラックでも組もうというわけだが、さてどこに据えればいいか。これから考えることとしよう。
ところで、季語は「竹を伐る」だが、これは昔から「竹八月に木六月」と言い、陰暦の八月が竹、六月が木の伐採の好期とされ、陽暦に換算すると九月以降十月頃くらいまでが竹の伐り時だ。竹の子が成長してたあとすっかり大人になるころと言えよう。

使い道

竹伐って古墳の裾を明るうす

竹が全体を覆っている。

もはや墳丘の形も覚束ないほど茂るに任せているが、ある日通りかかるとすっかり裾刈りされていて墳丘のおまんじゅうが姿をあらわした。
伐られた竹はすべては持ち帰られることなく散乱している残渣もあるが、古墳にしてみれば久しぶりに風が通ってさぞすっきりした気分であろう。
竹は陰曆8月頃に伐るのがいいと言われそれが季語として定着したのであるが、今では竹の使い道もかぎられ需要もめっきり減ってそのような配慮も顧みられることもまれであろう。