俳号なんとかしたい

紺浴衣学年ひとつ上にして

近所に評判の美人姉妹がいた。

歳は離れているのだが、妹のほうは私より一学年上で、たまに道などですれ違うたび眩しくてしょうがない対象であった。あるとき、姉が嫁ぐことになり、一目見ようと近所の人たちといっしょに駆けつけた。花嫁衣装の姉はますます美しく、周囲からどよめきがあがったり、溜息がもれるのがはっきり分かるほどである。
いっぽう、花嫁に付き添いの妹は、和装に包まれた姿がなんとも楚々として、ふだんよりぐっと大人びて見える。さらに姉に負けず劣らずの美しさである。
彼女が中学に上がって以後すれちがうことも少なくなったが、さらに一年後私が中学に上がると遠くから彼女と認める機会も増えた。ちょっと見ない内にさらに彼女が歳の差以上に大人びて見えて、手の届かないように思えた。
わずか一学期で転校となったので、その後の彼女の消息は知れないが、その名前は名字が母の旧姓と同じだったせいもあって今でもはっきり思い出す。
俳号を名のるとすれば、母方の姓でもと思うこのごろである。