銀色の草原

投薬に託す命や荻の風

体力回復に努めねばならない。

あまりの暑さと仕事を言い訳に、二月以上もエアコンの効いた家の中に閉じこもっていたのはさすがにまずいだろうということで、駅前にあるかかりつけ医で薬をもらうのに徒歩で行ってみた。
途中大和川の堤防ではやや生ぬるいが、つい先頃までの熱暑にくらべれば実に気持ちいい風が吹いて、うっすら流れてくる汗も苦にならない。生温かい風はどうやら穂を膨らませつつある河川敷の荻の間を抜けてくるものだったが、ここは春には西洋カラシナの花で一面黄色に染まり、秋には銀色の草原が広がる、まことに自然の営みとは力強いものである。
ひるがえって、八種類の薬を一ヶ月分処方してもらった袋をかかえてトボトボあるく自分の姿は他人からみればよほど貧相に見えたにちがいない。