瑞々し

墨堤に影を濃くして花は葉に

すっかり葉桜になって、影も濃くなった。

今日の飛鳥は眩しいほどの新緑光。
欅や桜の若葉が目に沁みるように青い。
石舞台を取り巻く桜も葉が茂って、中の様子は外からはうかがえないほどだ。
秋には飛鳥の奥、稲渕の棚田に心奪われるが、この時期は甘樫丘、飛鳥坐神社、岡寺周辺、など飛鳥北部がすばらしい。
先に見える三輪山の全山をおおうほど椎若葉が萌えいでて、山容も際だつようにふだんとは全く別の顔を見せている。
目にも、心にも、みずみずしさをいただく半日だった。

陰作る

両堤に枝さし渡し花は葉に

両岸の枝がふれあうばかりに生長した。

植樹してかれこれ35年もたつ染井吉野は人間で言えば壮年である。
花万朶となって川全体を包み込んでいた桜が、はや葉桜の季節を迎えて良い陰を作り始めている。
夏の貴重な散歩道である。

当地は、佐保川、高田川まで行かなければ、このような包み込まれるような散歩道がないのが残念である。
そのかわりに、天下の吉野があるのであるが。
今年後半のまほろば吟行の候補地選定の役目を仰せつかったが、吉野も候補地のひとつである。観光地客で賑わうあの金峯山寺ではなく、水の宮滝を猛暑の頃に行こうと思う。