かわいいトラ

虎尾草の水辺に群れるひとところ

田んぼのすみっこを利用したビオトープ風庭である。

個人で作られたようで、流れに沿って季節の花がいろいろ植えられている。谷津の行き止まりの道のため、通りがかる人も少ないが、ふだんこの辺りを散歩する人にとってはやすらぎのスペースとも言えるだろう。
虎尾草(とらのお)というのは文字通り、花穂が尾のように先細りして、その細い先端がうなだれるようにして咲く姿を愛でる花である。
特別に水辺が好きというわけではないだろうが、ビオトープの一画にまとめて植えてあったのが珍しくて。

尾を踏んだら

虎尾草(とらのを)のふるへ雨垂れこぼしけり
虎尾草の東向くもの西向くもの

見た目にはまるでギンギツネの尾のようだった。
オカトラノモ

吟行仲間の誰もが見たことがないという、猫じゃらしの根元の方を少し太くしたような花茎が垂れている。写真に撮ってネットで名前を調べてみるとはたして「虎尾草」という花だった。
さらに驚いたことにちゃんとホトトギス歳時記に載っているではないか。
一緒にいた練達の選者すら知らなかった花ということなので、今ではもう珍しい部類に入っているのかも知れない。