跡を残さず

水紋の揺れて川蜷揺るるごと

春らしい光の強さが加わって、水紋がきらきらと眩しい。

水量が豊かになっったこともあって流れも速く、煌めきがさらにましたようだ。
煌めきの底を確かめると、速い流れに身じろぎもしない川蜷が張り付いているのが見える。水を通した光りが揺れるので、殻自体も揺れるようにみえるが、実際にはうごいていない。通常、蜷が這ったあとは蚯蚓が這ったような跡が見えるものだが、その形跡すら見られず川底の表層の軽い泥などは流されているのだろう。