東海道急ぎ旅

宝永山さだかに富士の裾霞

東海道は山桜、富士が素晴らしかった。

新東名というのは旧の東名高速より山よりを走るためトンネルが多いことは知られるが、実は山桜の道路でもあった。南アルプスの南の外れの山がトンネルを抜けたと思ったら次々と眼前に現れて、山桜が裾から上まで点々と彩っているさまは、吉野もかくやと思えるくらい見事なものである。急峻な山肌のようだから、きっと長い時間をかけて鳥たちがサクランボの実を運んだのではないだろうか。
ふつう長い静岡県を走るのは退屈なものだが、おかげで今回は往復とも疲れ知らずのドライブを楽しめた。おまけに、この季節には珍しく遠目にも富士山の山肌がくっきりと見えて、裾の方はうすく霞がかかっていたが宝永山の噴火口は鮮明にとらえることができ、その大きさを見ればここから関東各地に大量の灰を降らせたことも容易に想像できるのだった。