熊野の初夏

黒潮の海士の通ひ路車輪梅
車輪梅一枚岩の御陵とや
車輪梅かつを熊野を通過中

車輪梅を季語とするかどうか。

どちらかというと西日本の太平洋側海岸地帯に見られ、ちょうど今頃香ばしい花をつけるので夏の花には間違いない。
熊野の、伊邪那美の御陵とつたわる花の窟に見られるように、黒褐色の岩石が海岸線に沿って続くのが紀伊半島東部の特徴であるが、それらのあるところはまず間違いなく車輪梅が茂っている。
熊野のリアス海岸地帯にはとくによく似合う。

先日、同窓会の昼食をとったホテルの植え込みが満開の車輪梅だった。それと思われる一枝をテーブルに挿してあるのを見て、たちまち脳裏に熊野の海岸の初夏の景色が浮かんできた。