蝉の声鐘の音

鐘涼し真神が原をさまよへば

いろいろ季材を探すのだが、これぞ秋というシーンはまだ少ない。

法師蝉も一声きり、桔梗も暑さのせいか元気がない。
早稲などは穂が育ちつつあるところもあるが、盆地のほとんどはいまだ花すら咲いてない。いまだ青田である。
きれいな水が流れる田には田螺が這い回る跡が目立つ。蜷の道だ。
そうこうしながら飛鳥をさまよっていると、飛鳥寺の鐘が聞こえてきた。この時期観光客もまばらで、耳に届くのはこの鐘の音と蝉の声。涼しさで言えば鐘の勝ちである。