折り目

雛衣の色褪せしける旧家かな

古代雛ともなると日焼けし色褪せもしてくる。

それでも、何代にもわたって受け継がれてきた家の歴史を誇るように、毎年毎年雛を飾るのである。武家であったろう家には雛の間に鎧兜も、刀や槍、長刀などもあろうし、商家には商いの品々もあろう。
何百年と続いた城下町に住む人たち自身も、あらためて我が町の歴史に思いをいたし我が町を愛しむのだ。

色褪せたりといえど、雛の衣は折目正しく緊張を保っているのである。