七つの心得

肩越しにめでる雛や連子窓

土佐街道には「まちなみ作法七つの心得」と言って、古い町並みを維持するためのいわば景観維持協定のようなものがあるようだ。

その一つが道路に面した窓には連子格子などを用いることという決まりがあって、町の表情に一定のリズムを与えている。
雛巡りは玄関の土間から座敷を拝見するのが多いのだが、なかには道路側の連子窓から見せていただく趣向の家もある。グループでぶらぶら歩きしたりすると、いきおいみんなが同時に狭い窓の中をのぞき込むことになるので仲間の肩越しに見るということになる。
さらにこうした場合説明してくれる立会人もいないので、雛のいわれが書かれた小さな「謂書」を読もうとさらに首を前へ突き出しては窮屈な姿勢を強いられることになったりもしたり。

町家の古雛

このようにして、百近くもある町家の雛飾りをひとつひとつ巡っていると春の一日はたちまち過ぎてゆく。