りんご吊り

雪吊が目印といふ館かな
雪吊の一筋縄のなせるわざ
雪吊に雪ふらせたき晴続き
東京の雪吊は雪ほしげとも
親方の到着待って雪吊す
雪吊の主柱吊輪のあをあをと
雪吊の吊輪の庭の形なりに
荒縄の玉をほどきて雪吊す
雪吊の縄玉ごろり用意して
雪吊の主柱かかぐる日和とも

紅葉のあとは庭園の雪吊風景。

今年は例年より早く雪便りが聞かれるので、兼六園などではそれを目的に訪れる人も多いのかもしれない。ただ、先日の雪で大きな木が倒されたところもあると聞く。水分が多く着雪しやすい雪質の場合は木だけでなく、家屋までもが押しつぶされそうになるので要注意だ。
雪は雪吊で風流に楽しんでいる分にはいいが、今回のように四国の孤立した山地に住む人にとっては命に関わる問題。限界集落といわれる地域がどんどんふえている現在、こうした災害時の連絡が行き届かないケースがますますふえそうだ。

ところで、兼六園で一番背の高い木の吊り方は「りんご吊り」というそうだ。りんごの実が重くなって枝が折れないように吊るのに似せた方法であるからだそうである。いずれにしても木の高さをしのぐ大きな支柱のてっぺんからきれいな三角錐になるように縄を何本も張っていく。芸術的ともいえる職人技である。