風のない日

堆肥ごと畑を持ち上げ霜柱

畑の柔らかい畝を霜柱が持ち上げていた。

ここ数日毎日のように厚い霜が降りる。
年末に球根を植えた花壇にも皹がはいるほどびっしり霜が降りていて、土の成分がのぞけている。
木の下など日が当たらない部分は午後になっても解けきらないようで、土が浮いたままだった。
ただ、気温としては久しぶりに十度を越え、風もないので散歩には心地よい日和であった。こんな日は決まって朝の寒さが厳しいのだ。いわゆる放射冷却の底冷えである。
あまりに日和がいいので、凧揚げの子供たちは走れど走れどなかなかうまくいかないので、ちょっと可哀想だったが。

生中継

瑞穂てふ国持ち上げて霜柱

NHK朝の気象情報は建物を飛び出して生の天気を見せるのが面白い。

とくに何十年も東京で生活していた私には、渋谷の今を空や街の様子を交えて流してくれるのは、懐かしさも伴ってすごく親近感が湧いてくるのだ。
先日も敷地内と思われる土を持ち上げる立派な霜柱の中継があった。東京も今朝は冷え込んだことがよく分かるし、そうなるとよく歩いたり自転車で流したあたりの光景も目に浮かんでくるようで、いろいろ想像も楽しい。

掲句は、そんな目で見ていると今朝は日本の国のあちこちが霜柱によって持ち上げられてるんじゃないかという妄想から生まれたものだ。