惑星のゆらぎ

風死んで近き火星のゆらぎけり

遠花火かなと思って外へ出た。

爆音のような響きが大和川方面から伝わってくる。もしや隣接の柏原の花火かと思ったが、平日に花火大会などはないはずで、オートバイかなにかの爆音だったのかもしれない。
踵をかえそうとしたとき、南の空にひときわ赤く明るい星が見える。
これが、何年ぶりかで地球にもっとも接近してきた火星だとはすぐに分かった。

あいかわらず風がない夜だが、ときどき火星の光りが揺らいでいる。惑星のはずだから瞬くことはないが、昼間に温められた空気が夜になっても動いているのだろう。