無縁の観念

ひと筋の水尾をしたがへ鳰孤高

天気はいいが風が冷たい溜池。

一羽の鳰が悠然と溜池をすべっているのが車窓からも見える。
人間界の大晦日なる時間という観念は一切無縁の命。その日そのときの命をかがやかせていきている。

この一年家族ふくめておかげさまで大過なく越せそうです。
ありがとうございました。
みなさまによいお年を。

雨の大和川

鳰のよく潜く日なりし大和川

浅い川だが流れはそこそこある。

上流から流れてきたかと思えばすぐにまた潜水してあらぬところに顔を出す。
いつものパターンだが、今日はいつもよりも頻繁に潜っているようである。
川の冬もだんだん本格的になってきた。

ここんところ今年生まれと思われるカワセミがいつもの場所で羽を休めているのを目撃することが多い。どうやら二羽がいて場所争いをしているようであるが、どちらが勝者になるにせよこんな大川では小魚が散っているので冬を越せるようないい餌場にはむずかしいだろう。
魚を獲ることにかけてはやはり水中を自在に動ける鳰に分がある。

休漁

川流れするかに見えて鳰かづく

川はすこし増水していた。

そのうえ流れもいつもよりずっと速い。
その流れに翻弄されるかに二羽の鳰がみるみる流されていく。
と、そのうちの一羽がさっと姿を隠す。水に潜ったのである。つづいてもう一羽も。

川で生きているものにとって、この程度の流れで休漁するわけにはいかないのだ。