里の鳥

アンテナのぷるんと震へ鵙の消ゆ

久しぶりに鵙に出会えた。

だが、ちょっとよそ見をしたらもう姿はなかった。あとは、止まっていたアンテナがぶるぶると震えているのみである。

つるし柿セット

とっきょりてふ大和のはれ展秋深し

斑鳩の産直市場で買い物ついでに県立民俗博物館まで足をのばしてみた。

博物館は大和郡山市矢田丘陵の裾の公園の一画にある。文字通りのんびりとした里の風景そのもののなかだ。
この秋は、大和言葉で「ハレ」を意味する「とっきょり(時折)」という特別展示が行われていた。冠婚葬祭や盆・正月、祭りなどの年中行事など、この地方で昔から行われてきた暮らしのリズムを紹介する企画だった。
なかには、こういう道具は昔見たよなとうなづく一コマもあり、心穏やかな気分で外へ出たら、鵙が大きな桜の上で鋭い声を発するのを耳にした。

家に帰ったら、さっそく御所産つるし柿セットの皮むきが待っていた。これも「時折」はいいものだが。