潮風

海たりし地の屋高く麦酒園

梅雨入りが遅れている。

遅れて困るのは水が命の農家であるが、長いことサラリーマン生活を送っているときこの時期の社を出たあとの時間の楽しみと言えばビール園だった。職場の仲間と連れだってジョッキのお代わりを楽しみ、枝豆をぱくつく。
この時間があればこそ、一日のいやなことなどきれいさっぱり洗い流され上機嫌でみんな地下鉄に消えていく。
つくづくと思うのだが、社のみんなと吞むときはやっぱりぺいぺいの時代がいちばん輝かしい。昇進がちらついてくるような年代になると、どこかよそよそしくなったり、吞む仲間が固定してきたり、心から冷たいビールを楽しめなくなるのだった。
今は自由でいつでも呑めるようにはなったけど、どういうわけかノンアルコールしか受け付けなくなったのはまた淋しいものである。

買い置き

けふの業なし終え下戸の麦酒かな

飲んでもノンアルコール。

家飲みはしないが、こう暑い日が続くと晩餐には麦酒が飲みたくなる。
飲まないから麦酒の買い置きはなし。仕方ないから梅酒の水割りでも。