生きとし生けるもの

穴施行所帯持ったと風に聞き
十分に行き渡るべく寒施行
ボスばかり独り占めして寒施行
寒施行主の正体見届けり

寒施行である。

寒に入って狐や狸など小動物たちの餌が乏しくなった時分、巣穴と見立てたさきに食物を施すことをいう。
今年は所帯を持ってもしかしたら子供もいるかもしれないので、いつもよりちょっと多めに用意したのである。

“生きとし生けるもの” への6件の返信

  1. 寒施行、初めて知りました。
    優しい行為ですね。
    子どもを孕んだとなればなお更ですね。

    寒空のホームレスの人にも炊き出しなどが振舞われるようです。

    1. 関西の風習だそうですが、近くでは聞いておりません。
      日本では昔から殺生が禁じられ、里の近くで生きている狐や狸は身近な生き物、同志みたいなものとして大事にされてきた風土があるのが背景にあるのでしょうか。
      翌朝お供えが無くなっていると、それは今年豊年であると言われたりするので、子供たちが食べ歩くこともあったそうです。衛生の問題や、餌付け禁止みたいな風潮から現代ではなかなか難しいですね。

  2. 寒施行、そんな風習があるのですね。
    冬の枯野では動物たちも食探しに苦労するのでしょうが、見かける鳥たちはけっこう丸々太っていて不思議に思うこともあります。

    1. 丸々としているのは冬毛に守られているせいかもしれません。
      電線の雀がふっくらして日向ぼっこをしているのをよくみかけたものです。これを「ふくら雀」と言って「寒雀」の傍題になっています。

  3. めずらしい行事だね。
    調べてみたら、京阪神地方の習わしだそうだね。
    誰がいつ頃から、どのような経緯で始めたのか興味が湧くね。
    日本では昔から自然を大切にし、神様として崇めたり、自然と一体となっていたからね。
    生き物を大事にし、ほほえましい感じがするね。

    1. 昔の冬は人間だって厳しいもので、おなじ厳しい環境で共に生きている同志みたいな気持ちがあったんじゃないでしょうか。放生会といい、必要なもの以上は獲らない、そして獲物に感謝する、そんな「共生」という世界観は世界でも珍しいものじゃないでしょうか。

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