柿どころ

吊し柿送り頃まで三日ほど
ぶらぶらと風の手練れの吊し柿

通りかかった店で立派な柿を見かけたので立ち寄ってみた。

ここはいつも客が入れ替わり立ち替わり出入りしているので、きっと安くていいものを扱っている店だろうと思っていたが、案に違わなかった。野菜、果物専門でどうやら地元産のものばかり扱っているようである。
西吉野の何々農園、すなわち柿どころ五條、からと書いてある吊し柿用柿がざる籠いっぱいに盛られ、とても渋柿とは思えないようないい色を出していたのでその色に釣られて一かご買ってみた。
一個の大きさが拳ほど、これが15個入っていた。

一昨年にもチャレンジしたが、面倒見が悪かったのか、貧相な仕上がりに食べることなく捨ててしまったので、今回はネットで検索して慎重に。
完成まで最低三週間ほどかかるらしい。
軒下の雨のかからないところに干して、ここでも色の変化を楽しむとしよう。
とくに、最初一週間ほどして、全体が薄茶色になった頃合いを見計らってよく揉み込み、種離れをさそうのがこつだという。
家人はあまりドライフルーツの類いは好きでないので、この15個は実際は全部私の胃袋に入るのだ。

“柿どころ” への10件の返信

  1. 今年も柿は豊作のようでスーパーの目玉商品となっています。
    それに比べ野菜の高騰は目を覆うばかりです。
    幸い暖かさに救われ鍋物は今シーズンまだ一度もしていません。
    今夜は久しぶりに肉多め、野菜少なめのすき焼きを楽しみました。
    いつになったら野菜がふんだんに買えるでしょうか?
    年末を控えますます値上がりするのでは?心配になります。

    1. そう言えば、昨日のコロッケではキャベツの刻みのボリュームが今一歩少なかったような。
      農業の天気に左右される宿命を打ち破るチャレンジングな企業が現れてもらいたいものです。

  2. 干柿造りですか。色んなことに挑戦して素晴らしいですね。
    「柿食えば」、やはり柿は大和盆地がご当地なんでしょうね。

    1. 吉野川に沿って五條から、紀ノ川にかわって橋本市にかけては柿街道。右岸左岸の全山が柿山という風情です。
      しかし、御多分に漏れず高齢化で後継者難。柿の葉寿司の葉っぱだってよそから買ってるという現実があるようです。
      行政では、比較的栽培が楽な柿の葉寿司用を増産すべく若い人の移住を進めているようですが。。。

  3.  五条から橋本にかけて柿の産地ですね。干し柿用は平柿が良いようです。毎年百個余り調達して、軒先につるしています。
     ただ、こんなに暖かい日が続くと、出来はどうなんでしょうか。少々、心配しています。こちとらすべてカンだよりですが、ほだか氏のアドバイスを参考に、完成度の高い干し柿に挑戦してみます。

    1. 山間部に入った和歌山葛城町では正月飾り用串柿が有名ですね。今時分の風物詩としてローカルニュースでよく見ます。
      百個とは大変な量で皮むきだけでも大変そうですね。何時ぞやはご相伴に預かりまして。
      求めたのは江戸柿と言うんでしょうか、円錐形をした大型柿で、ただ大きいからと言う理由で選んでみました。
      確かに、暖かすぎてうまくいくかどうか不明ですが、三日目ともなると橙の色具合も楽しんでいます。

  4. 柿に関してもう一題 
    子規が「我死にし後は」の前書きに残した句。
       柿喰うの俳句好みしと伝ふべし
    よほど柿が好きだったのでしょうね。
       柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺
    この句の柿は奈良原産の甘柿「御所柿」とのこと。
    日本の甘柿で最も生産量の多いのが岐阜県瑞浪市原産の富有柿でこれも元はと言えば幕末期、地元の柿に御所柿を接ぎ木して改良したものだそうです。
    以上朝刊より

    1. 「御所柿」というのは、あの「ごせ」ではなく京の御所へ送った特産の柿のことなんですね。栽培が大変らしくて(量が採れないから)今ではすっかり廃れてしまったようですが、最近復活しようとする運動があるようです。

      子規の柿の句にはこんなエピソードが語られることがあります。
      ーーーー
      こたびの東京行きの旅費を立て替えてくれたのは友人漱石であり、漱石の「鐘つけば銀杏散るなり建長寺」に対する挨拶句である。
      ーーーー
      実際には法隆寺で柿を食ったのではなく、猿沢の池の畔の旅館だということで、創作性も感じられるし、こう聞けばそうなのかなあとも思えてくるから不思議ですね。

  5. 岐阜が富有柿の産地と知ったのは 娘の旦那の母親の実家が
    岐阜で、お歳暮に富有柿が送られてくるようになってから。
    そして 実際に その産地ぶりを 見たのは
    今年の春、谷汲に行った時。

    谷汲みには名刹が二寺あり。
    桜で有名な、華厳寺、
    舎利仏があり 美濃の正倉院と言われる、横蔵寺です。

    でも、でっぷりした富有柿より、句にある、”吊るし柿”
    の方が、風情がありますね。

       吊し柿送り頃まで三日ほど

    好い句ですねぇ!

    1. 華厳寺というのは西国三十三カ所札所の結願の古刹なんですね。最も東に位置するとはいえ、西国とはもっぱら近畿より西側のことをいうとばっかり思い込んでいたので新鮮な驚きです。
      あの立派な岐阜の富有柿は谷汲辺りだというのも初めて知りました。兎に角でかいんで驚いたことがあります。

      地元では、刀根早生と言って渋なんですが、すこぶる甘味があるということで高級品に属するのが知られていますが、店にはあまり並ばないようです。首都圏とか行くのかな?

      最近写生句というのが詠めなくて悩んでいます。
      「食べ頃」「送り頃」というのはいかにも主観が入って結社ではおそらく見向きもされないと思います。しかし、食べ頃ではなく、「送り頃」あるいは「贈り頃」とする句はないように思い、まあこれも自分らしいと言えば自分らしいかなと。

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