八十の衢に

秋の田や八十の衢の経りにけり

桜井市の「大和さくらい 万葉まつり」に行ってきました。

初瀬川の特設舞台での「万葉うた語り」、川では「歌垣火送り」と言う灯火流しなど万葉集にちなむ行事でした。
うた語りでは保育園児から神主さんのグループやら趣味の団体など数多くの披露があり、なかでも園児たちの演技は古代衣装も相俟って大変な人気。
一部をYouTubeを借りて紹介します。
松山では老若男女幅広く俳句が親しまれていますが、ここ万葉の故郷中の故郷と言える桜井市でこのようなイベントを通して市民にもっと愛される万葉集であってほしいものだと思います。

うた祭り会場からほど近いところにある、かつて海石榴市(つばいち)が開かれたという集落を尋ねてみました。当時の繁栄など想像さえ及ばぬほど地味でしたが、今日の祭りの華やぎが届いて、かつての「八十の衢」の眠りを覚ましたかもしれません。

海石榴市観音のまえにある歌碑です。

紫は 灰さすものぞ 海石榴市の 八十の衢に 逢へる児や誰れ・・・巻12-3101

“八十の衢に” への6件の返信

  1. 万葉の世界、ご紹介ありがとうございます。沢山あると言われていたイベントの一つでしょうか。保育園児の参加なんていいことですね。親も万葉の世界に関わることになるし。

    「八十の衢」、難しい言葉ですね。勉強しました。
    初瀬川は万葉の旅でも初っ端に書かれてるところ、「万葉集の初め」ということでしょうね。歌垣→男女の言問い、そりゃあそうですね。鳥でも動物でも声をだして求愛するんですからね。

    1. 飛鳥川の石橋もそうだったんですが、万葉の歌枕の地ってほんとうに意外なほど小さいので驚きます。世界の荷が難波から大和川を遡って椿市に上陸したとありますが、その川と思われる初瀬川にしても水深がなくて本当に舟が来たんかいなと思ってしまいます。これは個人的な意見ですが、川を遡ると言っても川の両端へ渡した縄を人々が引っ張りながら移動したんではないか。最上川を上る舟みたいな感じです。
      現場にたって考えますとそんな風に見えてきます。

  2. YouTubeの犬養節、拝聴しました。
    子どもの声はとても可愛らしく大人の男女はさすが良い声を聞かせて下さいました。
    こんな雅びな催しがあること、初めて知りました。
    末長くこの伝統が受け継がれていくと良いですね。
    解説の女性の関西弁も素朴で懐かしく感じました。

    さて東京式と大阪式の二大アクセントの境界線は何処にあるのでしょう。
    桑名の揖斐川を挟んで長島から東側が東京式、桑名から西側が大阪式で木曽三
    川が隔てた文化と言うことです。
    これは先日、津の喫茶店で読んだ伊勢新聞の「ことば散策」からの記述です。
    「伊勢新聞」懐かしいです、関西系の情報がたっぷりでした。

    1. 子供さんが出演中はカメラのすぐ傍で親たちが大騒ぎで録音状態も良くないでしょ。でも、「額田王」とか詠みひとを言うときのイントネーションがとても可愛くて思わず笑ってしまいます。

      東西のアクセント境界線って意外に西に寄ってるんですね。初耳です。橋と箸、名古屋ではどういうイントネーションでしょうか。

  3. 「うたがたり」の様子、ほぼわかりました。教えてくださってありがとう。
     そこでは万葉集に因んだ行事がいろいろあるのでしょうね。羨ましい環境です。
     YouTubeで聞いた限りでは万葉のうた語りは男性の声の方が合うかなと私は思いました。可愛い子供たちが将来万葉の世界を好きになってほしいものです。
     万葉の歌碑があちこちにあるのもいいですね。
     調べたら問答歌だったので、№3102の歌を次に。

    たらちねの 母が呼ぶ名を 申さめど 路行く人を 誰と知りてか

     
     現代の漢字に適当に直したので間違っていたら正しく直してくださいね。

    1. 全国各地で万葉まつりが行われているようです。桜井市の祭りはこのような朗詠があって、しかもその殆どがよく知られた歌だったので、つい一緒に小声で口ずさんでしまいました。いろんな節回しがあるらしいです。神主グループは普段から祝詞で鍛えているせいか素晴らしい声でしたよ。聞き惚れてしまったので録音し忘れました。

      この問答歌は歌垣の代表歌ですね。巻頭の雄略天皇の歌といい、伸びやかな万葉気質がうらやましいほどです。

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