句会もう一つ

数へ日や新たな句会誘はれり

今年も残るところ10日を切ったところで年末の句会のお誘い。
六句出句が条件とは大変だが、年末の句会顔見せでいきなり納会付きとは楽しそう。

さて、二年目の「今年の句」を今日明日と二回に分けて披露したいと思う。
まずは今年前半のなかから。

対岸のひとには負けじ寒稽古◎
本堂の土間に残りし寒さかな◎
一度だけ咆へて了んぬ春の雷◎
苗売の言ふままあれもこれも買ひ◎
野遊や薄紅引ける石仏
ジーパンに着替へ宮司の花衣◎
国ン中を鎮め大和の花筏
空瓶に一輪活けて椿守◎
保護したる子猫の顎の強さかな
きれぎれに瀬音混じりの河鹿かな◎
 ◎は俳句会入選句
 一部手を入れたものあり

今年の句から(後編)

新涼や母は少女の世界かな
耳遠き人に届かぬ秋の雷
駅ひとつ行く毎沈む秋陽かな
猫の子の顔見せるころ夕月夜
病む母は墓参かなわず秋彼岸
池の面秋色映えて大伽藍
菊の香や遺影の母は微笑みり
笹鳴きの案内に従ふ山路かな
山梔子の色に出にける思ひかな
木枯らしの行き着く先の飛鳥かな

今年の句から(前編)

今日、明日と2回に分けて今年1年のなかから各10句選んでみます。
なかには手を加えたものもありますが、まだまだ満足できるものはありません。

淡雪の溶けゆくごとく愛猫逝く

窓はなち宵夜の底や沈丁花

花衣異国の言葉を交わし居り

紫陽花の姿勢正しく雨上がる

欠いた歯の愁いそのまま梅雨に入る

この道をたどれば三輪へ麦の秋

陽の当たる当たらぬ日あり向日葵草

一日の汗かききって夕の風

国道は渋滞にして萩こぼる

八月は母と同居で始まりぬ