四面楚歌

醜草をぬきんでて揺れ美人草

雨上がりの涼しい日を狙う。

思いたって庭の草を刈ることにした。草引きではなく、鎌でざっと刈るだけである。
今ごろはポピーの時期なのだが、今年は雑草に負けそうになりながらも辛うじて息を吸うように頭一つ出て揺れている。いったい何時から、あるいは何処から種が飛んできたのか分からないが、毎年増えているように思える。抜いてみるとしっかりとした、牛蒡のような直根なので多年草と思うかもしれないが一年草である。
一般にはポピーだが、歴とした和名がある。
雛罌粟ひなげし、別名・虞美人草(または美人草)である。こう聞くと、由緒ある高貴な花というイメージに一変してしまうところが面白い。項羽の寵姫・虞の死後、墓のそばから咲いたのでそのような別名があるわけであるが、垓下の戦いに破れ、しかも周りの漢軍に楚の国の歌を歌われて心理的に大きなダメージを受けた楚国の英雄の悲嘆にストレートに響き合うものがある。

“四面楚歌” への3件の返信

  1. 細い茎がはかなげに揺れているように見えますが根は意外としっかりしているのですね。
    ひなげしと言えばアグネス、虞美人草と言えば漱石。
    史記は読んでいませんがなるほど四面楚歌はここからですか。

    1. 漢軍に囲まれ最後を悟ったとき自ら詠んだ詩:

      力抜山兮気蓋 力は山を抜き気は世を蓋ふ
      時不利兮騅不逝 時利あらず騅(すい)逝かず
      騅不逝兮可奈何 騅の逝かざる奈何すべき
      虞兮虞兮奈若何 虞や虞や若(なんじ)を奈何せんと

      苦手な漢文の授業でしたが、この詩だけは妙に覚えています。

  2. すごい、すごい!!漢文は苦手です。

    お習字の規定作品はすべて漢詩ですが読めません。
    詠めないけど意味を理解してから練習するようには心掛けています。
    友人は赤壁賦前を諳んじていましたが私はとてもとても。

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