祈祷寺の桜

春陰やほほ紅くかに童子像

境内500本の桜が満開だということで安倍文殊院に行ってきた。

安倍文殊院は切戸文殊(京都府宮津市)・亀岡文殊(山形県高畠町)とともに日本三大文殊のひとつに数えられている。また安倍一族ゆかりでは大化の改新後左大臣となった開基・阿倍倉梯麻呂(あべのくらはしまろ)をはじめとして、阿倍仲麻呂、安倍晴明などの人材を輩出している名門であるとともに、寺所有の寺宝、文化財も多い。
当の文殊菩薩さんだが、快慶作。この2月脇侍含めて一括で重文から国宝に格上げされたそうで、唐獅子にまたがって諸国を説法に出かけられているお姿をしておられる。雲海を越えて遠くまで、という意味で「渡海文殊」さんと呼ぶそうだ。

掲句は菩薩さんの脇侍のひとつ「善財童子像」(快慶作)で、両頬の塗装がはげた部分がまるで紅い頬に見えたりするのが童らしかったり、両手を合わせて歩きながら振り向く姿など、リアルでしかもあどけなさあふれる姿に心引かれるものがあった。菩薩さんに教えられた人に会いに行ってはひたすらその人に教えを乞い、やがては悟りを得た喜びを表しているということだ。

清明堂から耳成、二上
安倍晴明が天文占いをしたとされる場所に晴明堂が立てられていた。そこからは足元に「ジャンボ干支花絵」、桜に包まれた金閣浮御堂(仲麻呂堂)、遠くには耳成、二上の両山が望めた。夕方まで粘れば二上に沈む夕陽が見えたかもしれないが。

“祈祷寺の桜” への6件の返信

  1. 「三人寄れば文殊の知恵」のあの文殊さんですか?
    なるほどね~ 稚児文殊とか童形文殊とかいわれるぐらいですものね。

    阿倍仲麻呂、阿倍清明、安倍一族なのですね。
    今まで結びつきませんでした。
    やはりさすがは奈良、見どころには事欠きませんね。

    今日は25年前の映画「八月の鯨」を見てきました。
    若いころ見た時はさほどに思わなかったのですがこの歳になってみると深く静かな感動を味わいました。
    同じ映画でも見る時によって受け止め方感じ方が異なるものですね。

    1. 今をときめくアベノミクスさんもお詣りしたとか。

      岩波映画で再映しはじめたようですね。どんな映画なのかよく知りませんが、ウェブで見た感じではしっとりした映画で我ら世代には響くかもしれません。

  2. きれいな桜ですね。句も写生でなるほどそう詠むのかなと勉強になります。

    文殊とか菩薩とか童子とか仏さんに繋がる言葉がいっぱいあって何となくボヤっとしか分かってないのがもどかしいです。でも説明してもらってありがたいです。

    アベ一族のこともよくわかりました。思わず見知っている何人かのアベさんの顔を思い浮かべました。

    1. 桜は盆地内いたるところ満開です。電車に乗っていてもここかしこに桜があるので、今日などは花疲れさえ感じるほどぜいたくしました。

      ここのは「安倍」と人偏です。地域の字は「阿部」でしたけど。

  3. 今朝のNHKのニュース番組を見ていたら、奈良県大淀町の世尊寺の桜を中継していましたが、見応えありそうでしたね。これから満開を迎えるそうですよ。
    3月31日と4月1日の二日にわたり、北杜市の別荘の畑の手入れに行ってきました。鋤をつかって耕し、苦土石灰を撒いてきましたが、結構重労働でした。まだ完了していないので、再度土作りに出かける必要がありそうです。
    日本三大桜の一つである樹齢2000年といわれている北杜市実相寺の山高神代桜をみてきました。丁度満開で4月1日の平日にも拘わらず大勢のお客さんで賑わっていました。
    境内には福島県の三春滝桜の子桜や身延山の枝垂れ桜の子桜など多くの桜のほか、水仙も満開で、甲斐駒ケ岳をバックに見応えがありました。
    天気にも恵まれ、まずは最高のロケーションでした。

    1. 全国版で紹介されましたね。来週頃は全国から見物に来られる人が増えるんでしょうね。県内ではとくにメジャーな花見スポットでないのですが、これをきっかけに県内近郊からも大勢来られると思います。

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