桜を煮詰めた色

ワイパーに拭きむらのあり桜蘂

花が終わろうとしている。

馬見丘陵の桜蘂

葉桜となりつつあるものもあるが、葉まだ芽吹かず蘂だけの桜の美しさに心を打たれた。
淡い桜色の花がいくらか残るなか、その散った花の色を煮詰めたように一段と濃くなった蘂の鮮やかさにだ。
この蘂を何とか句にしようともがいたが、「桜蘂」だけでは季語にならず、したがって主役にはなれないのだ。その蘂を主役にするには、「降る」さまを読むことが求められるのである。
花が終わって葉が出初めるまでの、ほんの短い間の蘂の見事さをどう詠んだらいいんだろう。
そんな答えが出ないうちに時間切れである。

せめて、あの鮮やかな濃桜色を胸の中に思い浮かべながら、「桜蘂積もった」句に仕立ててみた。

“桜を煮詰めた色” への4件の返信

  1. 今日の一文いちいち納得です。写真もいいですね。桜蘂のあの色は正に桜を煮詰めた色だと思います。風が吹いて町内の路地じゅう桜の花びらが踊り舞ってます。その内、蘂が路面を覆い尽くすのでしょう。

    1. 桜湯の赤とはまたちょっと違う色ですね。あれは八重桜のを使うせいでしょうか。
      花が散った直後を間近に見てみると、ほんとうにはっとする色です。降る頃には赤茶けてきますけどね。

  2. この「一日一句」がなければ普段見慣れた景色として通り過ごしているかもしれません。
    おかげでしっかりと物事を観察する癖がつきました。
    気づかなかったことにも改めて確認したり調べたりと良い習慣です。
    但しすぐ忘れるのが難点でしょうか?

    1. 日常の一コマに時間を割く。無料で楽しめる娯楽かもしれません。ならば、65歳以上無料の時間を目一杯利用しようではありませんか。カネをかけなくても気持ちを遠くに馳せることができますね。

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