桜蘂打たせるままの古井かな
花と葉が半分ずつくらいになった。
ビルなど高いところから見下ろすと、だんだんと花が褪せてきて下草の色に同化するようになっているのがよく分かる。
こうしていつの間にか花は葉になり夏となるのだが、その前にもうひと工程ある。落花がまだ終わらぬまま蘂が降り始めるのだ。木の下に停めておいた車など一晩で、桜湯のような色に染まる。雨が降ったときなど、張り付いたようになって蘂をつけたまま走っている車をよく見かける。
これから、山深いところなどへ行けば、思わぬ残花に出会って名残の感を深めることもあろうし、夏となって大方は葉桜となってもまだ咲いていれば余花を楽しむことができる。
北へ行くもよし、まだひと月ほどは楽しめるというわけだ。