常世の国で

山辺の道てふ坂の花蜜柑

蜜柑畑のイメージはどうしても斜面でなければならない。

それも海に面して光りをいっぱい浴びる図だが、どっこい盆地の大和だって蜜柑畑はあるのだ。
奈良だから柿があるのは当たり前で、蜜柑畑とは貴重な存在だ。山辺の道のなかほど、景行天皇陵あたりの斜面に広がっている。
秋にはちゃんと蜜柑狩りさせてくれるし、商業的にも成り立っているのだろう。
柑橘類の歴史をひもとけば、その昔、垂仁天皇の時代、不老不死の薬を求めて常世の国に田道間守をつかわし、持ち帰ったのが非時香菓(ときじくのかくのみ)、すなわち柑橘の実と枝であった。そういうエピソードをふまえて山辺の道に原種に近い苗を育てているという話もある。
蜜柑の起源は大和にあるというわけだ。

“常世の国で” への4件の返信

  1. 非時香菓,蜜柑発祥の地は大和でしたか。これは新知識です。

    蜜柑は海に面した斜面に限ると思っていましたが考えてみれば味や品質さえ問わなければ温暖な土地でさえあればどこにでも生育するわけですよね。
    でも蜜柑狩りまでできるとはさすが大和ですね。

    1. 聖徳太子が生まれたとされる橘寺も発祥地だとする言い伝えがあります。真偽のほどはともかく、古代薬用として唐国から伝わったのはまちがいなさそうです。

  2. 山辺の道てふ坂の花蜜柑
    好い句ですね。
    山の辺の道(南)は フルに歩いたこともあります。
    奈良でミカンとはピンと来ないのですが、山の辺は山麓なので
    傾斜地に みかん畑が いたるとことにあります。
    ちょうど今頃、白い小さな(ミカンの)花が咲いている頃では?

    1. 奈良盆地全体が扇状地みたいなものですから、大和川に沿い大阪へ向けて緩い傾斜がついてます。
      その縁にある山辺の道は一段高く、太古から湿地ではなく踏み固められた古い道でどれだけ歴史を見てきたか。点々と大きな古墳が続いているのもゆかしいところ。
      スポットで訪れることはあっても、通しで歩いたことがないので、足腰立つうちにと思ってるのですが。俳句の目で歩くのでどうしても時間がかかりすぎるのが。。。

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