常世の国で

山辺の道てふ坂の花蜜柑

蜜柑畑のイメージはどうしても斜面でなければならない。

それも海に面して光りをいっぱい浴びる図だが、どっこい盆地の大和だって蜜柑畑はあるのだ。
奈良だから柿があるのは当たり前で、蜜柑畑とは貴重な存在だ。山辺の道のなかほど、景行天皇陵あたりの斜面に広がっている。
秋にはちゃんと蜜柑狩りさせてくれるし、商業的にも成り立っているのだろう。
柑橘類の歴史をひもとけば、その昔、垂仁天皇の時代、不老不死の薬を求めて常世の国に田道間守をつかわし、持ち帰ったのが非時香菓(ときじくのかくのみ)、すなわち柑橘の実と枝であった。そういうエピソードをふまえて山辺の道に原種に近い苗を育てているという話もある。
蜜柑の起源は大和にあるというわけだ。