一入

校庭に映写機すゑて夜の秋

回顧であり夏の夜への回帰願望である。

夏休みとなると学校で映写会が催された。たいがい模範的な演し物ばかりだがこれといった娯楽が少ない時代の産物である。その証拠にはテレビが普及して一家に一台の時代になるとともに姿を消していった。
校庭の木などに結びつけられた幕は風などで映像も揺らぐがそれも愛嬌。明かりを求めて虫が集まり、ただでさえ雨が降るフィルム映画がなお古びて見えるのだった。僕の記憶ではオール天然色というのはなくてみなモノクロだったように思う。やはり古い映画だったのだろう。
当時の夏の夜の涼しさが一入懐かしく思われる。

“一入” への2件の返信

  1. 野外映写会、懐かしいですね。
    校庭や公民館広場や田舎の個人の広い庭だったりで催されました。
    総天然色はもう少し後で雨の降る古い映画でした。
    前置きにはニュースも流れました。

    1. ニュース映画のナレーションは独特の決して忘れられない響きのある声でしたね。あれはどなただったんでしょう。

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