寒い風

球団来て蛍の闇の失せにけり

地元の町にJ3チームの本拠地が移された。

ところが、町おこしという意味ではいい話しだが、蛍にとっては大迷惑となっている。
某大学が移転した跡地にやって来たチームだが、大学の立派なグラウンドがナイター設備をもつものだから、毎夜のように練習の光りがもれて蛍が激減しているというのである。
地域住民が長い年月をかけて育ててきた蛍の飛ぶ沢がグランドのすぐ下にあり、闇を奪われた蛍が恋の季節を迎えることができず個体数を減らすばかりだそうだ。
蛍は風のない闇の夕から夜にかけて飛ぶのはよく知られている。ナイターの練習時間がまさにこの時間帯に当たるものだから団体もお手上げだ。
行政では蛍保護活動のことは知っていたはずで、何の手も打たれなかったというのも胸に寒い風が吹くばかりである。

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