蛍の闇に背筋を走るもの
漆黒の闇というのはぞっとするものがある。
蛍というのは、街灯もないところにこそ舞うものなので、よく見ようと懐中電灯を消すとそれこそ闇なのである。まして、雨の時期だから月もなくて真っ暗闇になることは多い。
最初のうちは夢中で蛍をカメラに納めようと楽しんでいても、やがて周りを見る余裕ができると、あらためて恐ろしい場所にいるのだと思い知る。そうなると、もういてもたってもいられなくなって、蛍狩りはお仕舞いになるのだ。
本来、蛍は人里にちかいところに棲息するものだが、最近は里の近くは蛍が生きられない環境が多くなった。だから、人里離れた闇の中はまるで異界のようにも思えてくるのだ。