立退の決まりし垣の灸花
なんと可愛い花なんだろう。
ただ、その名を聞くだに目をそむけたくなるのが気の毒である。
「へくそかづら」。
枝や葉をさわると臭いからといって名付けられたそうだが、そういう性格だろうか、荒れ地に生いるイメージがあって俳徒からは数奇な目で見られる季題である。
平群町へ抜ける県道をよく使うのだが、大型は通行禁止の道路で両側には古い住宅地が迫っていて大変狭い。そのわりに交通量が多いので、随分長い時間をかけて拡幅される計画があるようで、ところどころ廃屋のまま、あるいは更地になったままで立ち退きを待つばかりの風情である。
そんな一区画の垣に白い花に紅い紅をさしたような灸花が垂れていたのであった。
見た目には可愛らしく美しいのに何とも気の毒な名前の花がありますよね。
「へくそかずら」もそうですが藪枯らしも別名貧乏かずらと呼ばれているそうです。
手入れの悪い空き地に茂りそのままにしておくと蔓を伸ばし大切な植物を枯らしてしまいます。
花そのものは写真で見る限り玉粒の点々とした可愛い花で蜂にも好まれるそうですよ。
それぞれ子孫を残すためとはいえ、生まれ持って気の毒な花もあるものですね。虫もそうですが、すかれるものと嫌われる者。
そんな色々なものがあって、世の中がなりたってるんですね。
全くお気の毒な名前ですねぇ。改名してあげればいいのに。「乙女花」という別名もあるそうでこれからそう呼ぶことにします。今朝も見かけました。満開です。清楚な花なんですけどねぇ。
乙女花。いい名ですね。
今日の吟行先でも咲いていました。
念のため葉っぱを揉んでみたら、そばにいた人が顔をしかめました。それほどひどい匂いとは感じなかったんですけどね。